「水Do!フォーラム2019 脱プラスチック、そしてその先へ」開催報告
更新日 2019.3.31日
2019年3月13日(水)、東京・四ツ谷のプラザエフ(主婦会館)にて、「水Do!フォーラム2019~脱プラスチック、そしてその先へ」を開催しました。海ごみ問題の深刻化等から、脱プラスチックに関心が高まる中、そもそもどうして、使い捨てのものを減らす必要があるのか、その手法はどうあるべきなのか、イギリスと日本のトップランナーが発表、議論しました。
●講演1 「持続可能な消費と生産~地球をシェアするためのルール」
中原 秀樹 氏(東京都市大学名誉教授、日本エシカル推進協議会会長)
持続可能な消費と生産とは何か、国連の定義や天然資源使用量と豊かさの切り離し(デカプリング)の考え方についてお話いただきました。また、天然資源の持続可能性とともに、「エシカル」の観点の重要性を具体例を示しながらお話いただきました。
●講演2 「イギリスの使い捨てプラスチック削減とRefillキャンペーン」
ガス・ホイト 氏 (City to Sea「Refill」プログラムマネージャー)
イギリス・ブリストルのNGO、City to Seaのガス・ホイト氏より、街中のカフェ等どこでも給水できる街づくり「Refill」プロジェクトの開始から、たちまち全国に広がった経緯、戦略を豊富な写真とともに紹介いただきました。海ごみ問題への具体的な取り組みとしてブリストルで始まったプロジェクトが、全国に広がっている基盤には、給水スポットの検索だけでなくアクション機能もある楽しいアプリの効果、地域グループの巻き込み、水道会社や水筒会社の協力等があることが報告されました。
●報告 「米国の脱プラ、脱使い捨ての動向」
瀬口 亮子(水Do!ネットワーク事務局長)
2018年9月の米国西海岸の調査結果から、シアトル等の都市におけるストロー等の規制の実態、サンフランシスコ市のペットボトル飲料水販売禁止のその後、日本に輸出されているペットボトル飲料水採水地マウント・シャスタにおける住民の反対運動等について報告しました。
●パネルディスカッション 「脱使い捨て社会構築のプロセスとは」
パネリスト:
太田 航平 氏 (地域環境デザイン研究所ecotone代表理事)
窪田 とも子 氏(株式会社ラッシュジャパン Earthccareスーパーバイザー)
高橋 澄人 氏 (杉並区環境部環境課環境活動推進係長)
ガス・ホイト 氏
瀬口 亮子
モデレーター:
中原 秀樹 氏
後半のパネルディスカッションでは、祇園祭でリユース食器導入を実現した地域環境デザイン研究所ecotoneの太田航平氏、容器不要のシャンプーバー等、ネイキッド商品で消費者の意識を変えるラッシュジャパンの窪田とも子氏、日本初のレジ袋有料化等推進条例を施行したレジ袋削減のパイオニア、杉並区環境部の高橋澄人氏に事例を発表いただき、ホイト氏、瀬口を加えて、「脱使い捨て社会構築のプロセス」を議論しました。
「論点1:先進的な取り組みを実施する上での障害と克服」「論点2:参加を増やすための工夫」「論点3:国のしくみはどうあるべきか」の3つの論点から、パネリストの経験や考えが披露されました。
ホイト氏は無料で給水することに抵抗のある商店に、参加のメリットをどう理解してもらったか、窪田氏は日本の法律面でのハードルと消費者への啓発、太田氏は露天商の巻き込みやボランティアの確保の戦略、高橋氏はコンビニの巻き込みの限界と国への期待等が発言されました。瀬口からは回避すべきアイテムや対象事業者、手法の明確化等、国のしくみづくりの必要性を強調しました。
限られた時間でしたが、トップランナーの貴重な経験を共有することができ、有意義な時間となりました。
Refillと水Do!キャンペーンは、新年度から連携して展開していく予定です。
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