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水Do!フォーラム2018~海ごみから考える脱使い捨てと水のエシカル消費 開催報告

更新日 2018.3.16日

水Do!フォーラム2018会場全景

2018年2月22日(木)、プラザエフ(東京・四ツ谷)にて、「水Do!フォーラム2018~海ごみから考える脱使い捨てと水のエシカル消費」を開催しました。海洋プラスチック問題への関心の高まりから会場一杯の来場者とともに、脱使い捨て社会に向けた道筋を議論しました。

●講演「海からの警告~レイチェル・カーソンの遺言」 
上遠 恵子 氏(レイチェル・カーソン日本協会会長)

「沈黙の春」で知られるレイチェル・カーソンは、もともと海洋生物学者であり、生命の源である海のすばらしさを語る三部作でベストセラー作家になりました。「沈黙の春」で農薬等の化学物質が自然界や将来世代に与える深刻な影響を警告したカーソンは、晩年の講演の中で、便利さを求める社会が生み出す大量の廃棄物が川や海の生態系にも深刻な影響を与えうることを予言していました。カーソンの遺志を語り継ぐ活動をしている上遠さんは、別の道を選ぶ決断の必要性を訴えました。

●講演「ロンドンのOne Less Bottleキャンペーン」 
フィオナ・シュウェリン氏(ロンドン動物学協会海洋プロジェクトマネージャー)

ロンドン動物学協会では、海洋プラスチック汚染問題に取り組む中で、ペットボトルは海ごみのトップアイテムのひとつで使い捨て社会の象徴であることから、2016年、「リフィル革命」でペットボトルをやめようと呼びかける「#One Less」キャンペーンを開始しました。まずロンドン動物園やパートナーの大手デパート・セルフリッジが、ペットボトル入り飲料水の販売をやめ、水筒へのリフィルができる水飲み場を設置する先進事例を示し、個人や企業、団体に参加を呼びかけました。
One Lessは、多くのコミュニティ、学校、企業等が参加するコラボレーション運動として活動を広げ、国連海洋会議でも水筒アクションを展開しました。2017年には、ロンドン市議会環境委員会の提言、そして市長の施政方針にもペットボトル削減のための政策が盛り込まれ、One Lessキャンペーンと協働することになりました。ロンドンのこの動きは、現在、国の使い捨てプラスチック削減施策にもつながる勢いになっています。キャンペーンの中枢で多忙を極めるフィオナさんは、来場者にも「リフィル革命」への参加を呼びかけました。

フォーラム2018第1部ウェブ用合体

●報告「欧州における使い捨てプラスチック削減の取り組み」
瀬口 亮子(水Do!ネットワーク事務局長)

昨年9月に英国、フランスで行ったヒアリングおよびフィールド調査の報告を中心に、欧州で進む脱使い捨てプラスチックの取り組みの背景と具体的な事例を紹介しました。レジ袋、使い捨てカップ等について、両国の削減政策の法的位置づけ、その対象範囲と実施状況について紹介した後、ペットボトル削減について、英国のブリストル発祥の「Refill」プロジェクト、パリ市の調達廃止や水道公社による大規模な水飲み場設置を写真とともに詳細に報告しました。最後に、欧州の野心的な脱使い捨て政策は、廃棄物対策に限らず、多様な観点からの戦略により生み出されており、日本でも柔軟に取り入れたいと提案しました。

●報告「会議飲料ウォッチャー2017-2018」 
大嶽 貴恵(水Do!ネットワーク)

昨年9月から実施中の参加型モニタリングプロジェクトについて、趣旨とこれまでに投稿された注目事例を紹介しました。環境やエシカル消費について議論する公的会議で、ペットボトルのお茶や水に使い捨てカップが添えられ各自に提供されている事態に愕然とする一方、出席委員の疑義により、陶器やグラスで提供されるように改善された事例もあり、声をあげることの大切さも紹介できました。

●講演「海のごみはどこから?」 
橋本 淳司 氏(水ジャーナリスト)

パネルディスカッションの序論として、古来からの「水に流す」文化、海ごみ問題の深刻化、最近の日本人の環境意識の低下等について紹介、議論のポイントを考えました。

●パネルディスカッション「脱使い捨てに向けた海と街の連携」
パネリスト:  吉野 美子 氏 (一般社団法人JEAN)     
        岸村 小太郎 氏(プラスチック工業連盟専務理事) 
        井上 雄佑 氏 (環境省リサイクル推進室室長補佐)  
        フィオナ・シュウェリン氏(ロンドン動物学協会海洋プロジェクトマネージャー)
        瀬口 亮子(水Do!ネットワーク事務局長)
モデレーター  橋本 淳司 氏(水ジャーナリスト)     

フォーラム2018パネル合体4はじめに、パネルからの登壇者3名のミニプレゼンがありました。
日本で海ごみ問題解決に向けて活動しているNGOの草分け、JEANの吉野さんは、豊富な写真資料と地道な活動で集めたデータを交えながら、海ごみの発生源、引き起こす問題、特に使い捨てプラスチックが増えている現状、その対策のアプローチをわかりやすく紹介しました。
プラスチックを製造、利用する企業・団体で組織する日本プラスチック工業連盟の岸村さんは、業界としても、海洋プラスチックごみ問題の深刻化を重く受け止め、流出防止策の徹底、NGO等との連携、会員の取り組み宣言推進等の活動を強化していることを紹介しました。
環境省の井上さんは、国の不法投棄対策と3R政策の進捗について紹介しました。

続いて、「海ごみ問題に対する各々の責任とは」、「責任を果たすためにどのようなしくみが必要か」、「しくみづくりに向けてどのような連携が必要か」の3つの論点からパネリストによるディスカッションを行いました(ここからは海ごみ全般でなく、使い捨てプラスチックに焦点を絞って議論)。
責任については、「自覚なく結果的に不法投棄になるケースがある、そのリスクを回避する責任が必要」(吉野)、「より環境負荷の低い製品開発の責任はあるが、中身メーカー、販売段階での選択と回収努力が鍵ではないか」(岸村)といった意見が出されました。
しくみについて、一部の国で実施されているようなデポジット制度は、日本で導入する必要性は低いが、ポイント獲得につながる回収機等はさらに広げたらよいのではとの意見がそろいました。また、ペットボトル以外の使い捨て容器や製品も含めた発生抑制のしくみとして、英国で検討されているカップ税や韓国の包括的な使い捨て品規制を参考にしたい(瀬口)との意見がありました。
そして、そうしたしくみづくりに向けて、英国の「One Less」キャンペーンのように、日本でも、NGO、企業、消費者、行政等多様な関係者が連携を強め、消費と生産のあり方を変えていきたい、との思いを共有しました。フィオナさんは、日本での関係者の連携推進にエールを送ってくれました。

フォーラム2018会場後方合体海ごみ問題の解決に向けて、たくさんのポジティブな事例や意見を聞くことができたフォーラムでした。
会場には、JEANの海ごみに関するパネルと、水Do!ネットワークの国内外の脱ペットボトル政策や様々な街の水飲み場を紹介するパネルを展示して、ご覧いただきました。また、休憩時間には、セルフサービスでグラスの水と湯呑みのお茶を提供し、エシカルなイベント飲料のスタイルを体験していたあだきました。
来場者の半数は企業の方々で、真剣に情報収集されていたこともうれしいことでした。今後も、機会を設けて、さらなる情報共有や意見交換を行い、多様な主体による連携を進めていきたいと思います。
ご来場いただいた皆さん、登壇者の皆さん、運営をサポートいただいた皆さんに感謝申し上げます。

※水Do!フォーラム2018 開催告知、プログラムはこちら

※講演、パネルディスカッションの詳細は、「グローバルネット330号(2018年5月号)」の特集に掲載されています。

講演1 上遠恵子氏「海からの警告~レイチェル・カーソンの遺言」

講演2 フィオナ・シュウェリン氏「ロンドンのワンレスキャンペーン」

報告1 瀬口亮子「欧州における使い捨てプラスチック削減の取り組み」

講演3 橋本淳司氏「海ごみはどこから?」

パネル発表1 吉野美子氏「みんなの問題 海ごみ」

パネル発表2 岸村小太郎氏「プラスチック海洋ごみ問題への取り組み」

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